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不動産投資の基礎知識

【保存版】不動産投資の進め方パート3買付証明書の書き方

投資物件の絞り込みができ、融資の審査もなんとかいけそうだという見立てができれば、次はいよいよ投資対象物件の購入の申し込みです。買付証明書を提出するということです。

対象とする物件が見つかり、その物件を購入するための手続きです。「不動産購入申し込み書」とも言われる「買付証明書」について詳しく説明していきます。

不動産投資の進め方

「【保存版】リスクを抑える不動産投資の進め方パート1」 → /toushi-susumekata1-800/ にて、シーン1.~3.の詳しい解説をしました。

「【保存版】リスクを抑える不動産投資の進め方パート2」 → /bukken-shiborikomi-940/ にて、シーン4.の詳しい解説をしました。

今回は、シーン5.「投資物件の購入決定と申し込み(買付証明書を提出する)」についてです。

買付証明書(購入申し込み書)

不動産取引の第一歩・物件の購入申し込みは、「買付証明書」を提出することから始まります。いわゆる「購入申し込み書」です。

買付証明書(購入申し込み書)とは、その物件の購入の「意思」を表したものです。そして、本番の売買契約に臨む上での条件調整をするたたき台になるものです。

しかし、買付証明書を提出したからといって、「必ず購入しなければいけない」というものではありません。買付証明書を提出した後でも、「やっぱり買うのをやめた」と撤回することができます。買付証明書には法的拘束力はないのです。

反対の立場の売主にとってみても、この「買付証明書」を受け取ったからといって、「この人が絶対買ってくれる」とは思っていません。もっとほかの良い条件を提示をしてくれる人を探したりもします。独占契約を証明するものでもないということです。

買付証明書

買付証明書を提出していても土壇場になって、売主側から「やっぱり売りません」とキャンセルされる場合も往々にしてあります。だからこそ、この内容の精査は(とくに金額は)とくに慎重に行いましょう。買付証明書は気軽な気持ちで提出しても、無駄撃ちで終わるばかりです。

買付証明書の書き方

買付証明書の書式には、とくに決まった形式はありません。形は自由です。以下は私がふだん使用している買付証明書です。

買付証明書

形式は様々で自由なのですが、必ず盛り込まなければいけない内容があります。以下の4つの項目です。

<買付証明書に盛り込む必須項目>

①希望する物件の名称、住所および面積
 土地、建物の広さの明示が必要な場合は記入しておいたほうが無難です。

②購入提示金額(税込み金額)
 総額、手付金、中間金、残金について具体的に実行日がわかればできるだけ記入しておきましょう。

③支払い方法
 「手付金」はいくらで、いつ実行(決済)するのかを具体的に記入しましょう。中間で実行する金額はいくらまでの範囲か、「残金」として金融機関のローンを利用予定している金額はどこからか、などを付記しておきましょう。

④署名・捺印
 印鑑証明を添付する必要はありませんが、三文判でないほうが好ましいです。

一般の商品を購入するとき、買い手は購入の意思を伝え、売り手の合意がなされれば当事者間の契約は成立したと見なされますが、不動産取引においては、仲介業者が間に介入し、宅地建物取引主任者から重要事項説明(宅建業法35条書式)を受け、売買契約書(同37条書式)を交わし、手付金の授受を確認できて初めて正式な契約成立となります。

不動産売買成立
買付証明書を提出しただげでは、法的実行力はなく売主、買主ともに契約に縛られていない状態であるということです。

よって、売買の合意がなされた後でも、買主である投資家はその物件をキャンセルすることが出来ます。反対に売主も、より良い条件の買い手が現れれば、キャンセルができます。

また、不動産取引において自身の住宅購入の場合には、「人柄」が重要視される部分が多いのですが、投資物件取引の場合は、売り手も買い手もビジネスなので「価格条件」が重要視されます。

「価格条件」とは、以下のことです。

・購入金額
・現金での支払い割合とそのタイミング
・ローン(融資)の内諾が取れているか
・ローン特約
・残金決済までの期間
・瑕疵担保特約の有無 
などです。

つまり売主は、「高く、早く、現金で、手間のかからない」買い手を求めるということです。

価格条件

また、間に立つ仲介業者は、売買契約に至る前までのキャンセルが発生すると、それまでかけた時間と労力がすべて無駄になってしまうので、キャンセルの可能性があると思われる取引には積極的ではありません。

さらには、買い手の希望購入額が売り手の意向とあまりにもかけ離れているものであれば、その後の営業にも差し障りが出てくることを心配して、積極的に繋いでいこうとはしなくなります。

この点を踏まえて、以下のことに注意して買付証明書を作成してください。

買付証明書作成の注意点

買い手として以下のことを意識します。

・契約意思に影響が出てきそうな条件があれば、それを明確にしておくべき 
 → 買付証明書にしっかりと記載しておく

・多少の障害があっても強く購入意思がある物件であれば、それを明確にしない 
 → 競合を排除する意図から、「条件」になにも記載しない

買付証明書の内容

買付証明書の項目のそれぞれについて、以下に詳しく説明します。

この買付証明書の内容は、売主との条件交渉に影響するものなのでいい加減に記入せず、厳密にその内容を検討してから明記するようにしましょう。

この項目は、後に書きます不動産投資の進め方の「シーン6.条件交渉」に影響します。

①購入金額

あくまでもあなたの投資の試算シミュレーション上で、「見合う金額」が適正な金額です。無理して見栄を張った金額を書く必要はありません。

購入金額とは投資金額のことだと意識してください。ネット上に出ている不動産投資体験談などに、「値引きが成功した話」がよく見受けられますが、ひとはウマイ話しか言わないものです。

さらには、「値引きし過ぎると後で取られる」というのが物事の原則です。他人の上手く行った話に惑わされることなく、あなた自身の投資金額に見合うかどうかで判断してください。

繰り返しになりますが、購入金額はあくまでもあなたの投資シミュレーション上で、「見合う金額」が適正な金額です。また、投資物件購入とはそういうものでなくてはいけません。くれぐれも「値引き話」に惑わされないよう注意してください。

②現金での支払い割合とタイミング(支払い方法)

手付金

一般に購入代金の支払いタイミングは、①手付金、②中間金、③残金の3つに分かれます。そして手付金の額は、「5%~20%」が相場です。

そして、宅建業者(不動産業者)が売主の場合は、未完成物件であれば中間金も含めて手付金は、購入物件価格の5%以下です。完成物件であれば10%以下です。

手付金は、その金額(割合)が少ないと効力も小さくなり、反対に多ければ売主側も仲介業者もキャンセル率が低くなると判断するので、効力は大きくなります。

当初用意できる手付金が少ない場合は、中間金という設定を行い、契約をホールドする方法に用います。

残金について、購入金額をすべて現金で行う場合は、契約と代金決済は同時に行います。また、残金をローン(融資)で行う場合は、契約締結後から1~2ヶ月以内で行うのが一般的です。

<残金決済時期の目安>

・未完成の木造アパートであれば、完成の時期に合わせて4~6ヶ月後の実行

・新築マンションであれば、4~6ヶ月後で実行
 (1フロア完成ごとにというようなこともあります)

これらはひとつの目安としてください。

購入金額

③ローン(融資)の内諾が取れているか(ローンの停止条件)

ローンの停止条件とは、金融機関にローン(融資)の申し込みをしてNOとなった場合に、先に支払った手付金をペナルティー無しで返還してもらうという特約です。

いつまでがその停止条件の有効期間についても買付証明書に明記します。

売主からみると、その期間内はいつでも白紙撤回されてしまうという可能性があるものなので、手付金を入れていたとしても、その効力は下がります。

もし白紙撤回になった場合は、1)手付金の返却、2)契約書の解除の合意書作成、3)再度募集をかける、という大変な手間を売主は負います。この間に、他の条件のいい顧客を逃してしまっているかもしれないという機会損失の心配も生まれます。

では、これらの売主の不安を取り除く方法としては具体的に下の3つの方法があります。

・すでにローン(融資)の内諾をもらっているということを伝える

・自己資金の部分でもう少し増やせる余地があるということを伝える

・担保に入れられる物件が他にあるということを伝える

不動産投資の世界では、百戦錬磨の競争相手が現れる場合もあります。このような人たちは、ローンの停止条件を付けずに契約の権利獲得に乗り出してきます。つまり手付金を捨てる覚悟で臨んできます。

こういう場合は、仕方がありません。勝負あり、です。資金力の差で決まってしまうので、この投資物件からは撤退するという冷静な判断が必要な場面です。

【預かり敷金についての関東と関西の違い】

関東では、預かり敷金は売主から買主にそのまま引き継がれます。帳簿上では返還義務のある「負債」に計上されます。

例)5000万円の売却価格の物件に300万円の預かり敷金が存在している場合
・買主→売主 売買代金5000万円が渡される
・売主→買主 敷金300万円が渡される

◆実際の現金のやり取りは、4700万円(5000万円-300万円)を売主から買主へ渡します。

ところが関西では、預かり敷金は物件売却の時点で売主が回収してしまい、買主は返済義務を負う形になるというのが一般的です。

例)5000万円の売却価格の物件に300万円の預かり敷金が存在している場合
買主→売主 売買代金4700万円が渡される
売主→買主 敷金300万円は渡されない

◆実際の現金のやり取りは、4700万円(5000万円-300万円)と東京と同じですが、これは売買価格の交渉に影響してきます。

④瑕疵担保責任の有無

瑕疵担保責任とは、物件を購入した後に隠れていた不具合があった場合、売主が買主に対して負うということです。契約解除や損害賠償などの責任のことをいいます。

建物の瑕疵(かし)について、一般的に多いものは以下のような事案です。

・雨漏り
・雨漏りによる柱、壁などの腐食
・シロアリ
・建物自体の傾き
・床や壁、梁など建物の構造を支える骨組の傾き

ちょうどこの記事を書いているときに、ご存知の「マンション傾斜問題」が起こりました。このような事故に対して売主側が対処していくのが瑕疵担保責任です。「隠れていた問題」とは、まさにこのようなことです。

日本経済新聞 電子版より
瑕疵担保責任

不動産業者(仲介業者)を介さない取引の場合(売主側に仲介業者がいない場合)は、特約が付いた契約を取り交わせるかどうかは、実際にはなかなか難しいものです。

宅建業者が売主側に就いている場合には、心配は要りません。宅建業者には特約の付保が義務付けされているからです。

瑕疵担保責任を負わない契約

建物自体があまりにも古い場合には、土地の値段が売買金額のほとんどになり、建物は無価値と判断されます。よって、瑕疵担保責任を負わない契約を取り交わします。

この場合、解体工事を前提とした取引になるので、解体工事費用を負担するのであれば、経費として忘れず計上していきましょう。ちなみに、建物を解体する場合、広さと延床面積にもよりますが、一般の戸建て住宅・2階建て(木造)で100万円前後です。

契約前にできるだけ建物の状態を調査することが理想ですが、調査費用がかかることや、建物の内部への立ち入りなどの問題から、なかなか実行には壁があるのが現実です。そういう点から、瑕疵担保責任を義務付けられている宅建業者を介入させて契約を運んでいくことを私はオススメします。

物件購入前までに事前に確認しておくこと15

買付証明書を提出するのと同時に、確認しておかなければいけないことは多岐に渡ります。

「マンション傾斜問題」にあるような構造上の隠された問題を発見することはほぼ難しいのですが、以下に示した項目については自ら可能な範囲なのでぜひ取り組んでください。

これらはいづれにしても売買契約書締結前までには確認しておくべき事項です。できる限り早い段階で情報を入手しておきましょう。

<売買契約前までに確認しておくこと>
1~7までがプライオリティの高いものになります。

1.固定資産課税(公課)証明書(土地と建物の両方)
固定資産税
2.売却の理由
3.修繕履歴(内装はもちろん外壁、水まわり、給湯など)
修繕履歴
4.賃貸借契約書および入居申込書
賃貸契約書
5.直近の貸借条件一覧表(レントロール)
レントロール
6.物件収支・入居率・稼働率・設備の取替(修繕)などの運営実績(トラックレコード)
7.謄本、公図、地積測量図、建物図面
公図

以下、最終的に収集しなければいけないものです。

8.建築確認通知書、検査済証、設計図書
9.上下水道図面、ガス埋設図面、道路査定図面
10.隣接地要約書(測量図登記があればベスト)
11.共用光熱費、消防点検、清掃費の明細
12.告知事項(物件、入居者に関するもの)
13.滞納者、退去予定者の情報
14.消防設備点検報告書、貯水槽清掃報告書
15.水道メーター共有の有無

まとめ

買付証明書についての書き方と、詳細内容の説明をしました。

買付証明書は条件交渉(主に価格交渉)の第1のオファーです。そして、条件交渉は、相手が求めていることを知ることで有利に運びます。

相手が求めるものは、①売却価格か、②支払い条件なのか、③確実に売れるのか、の3点に重点が置かれるものがほとんどです。これらの中から最重要ポイントを探り出すことが買付証明書の活用法です。

相手が求めるポイントを見い出せないまま交渉を進めて行くのはナンセンスな運び方です。相手のポイントがわかった上で、自分の条件との妥協点を見つけて行きましょう。

さらに、売主にこちらの条件を主張し納得してもらえる助けになるアイテムとしては以下です。

・同様の物件の利回りを提示する
・金融機関が算出した担保価値を提示する
・近隣の取引事例を提示する
・修繕費用を提示する
・解体工事費用を提示する
・入居者の立ち退き費用を提示する

いづれにしても説得力のある数字を提示することがまず大事です。

条件交渉とは一方的な要求だけでなく、相手の要求に対して譲歩する部分も作り、最後は売主に「いい取引」だったと思ってもらえれば成功です。

以上、不動産投資の進め方の買付証明書についてでした。

作成者: 安藤五

不動産個人投資家 安藤 五(あんどういつき)

10年以上前になりますが、株投資で大失敗しました。マーケットに翻弄されるとはまさに自分のことです。日々アップダウンを繰り返す株式相場で資産を作るには、相当のラッキーが起こるか、かなりのプロフェッショナルでないといけないことを身に沁みて痛感しました。当時勤めていた会社も辞めました。家族も失いかけました。

そして、経済市況や政治政策やそんな他人が決めたことに振り回される人生はイヤだと思いました。
そこで辿り着いたものが不動産投資です。これに辿り着くためには、とにかくたくさん勉強しました。不動産関連の本を読み漁り、ネットやブログはもちろん、人脈を駆使して成功している不動産投資家に直接話しを聞いたり、不動産仲介業者から直接勉強したりもしました。

また、金融機関の融資担当者にも何度も面会を試みました。そして、それまで持っていた固定概念を捨てました。素早く儲かるものは失うものも早いです。

でも不動産は違いました。売らない限り自分の手元からなくなることはありません。ある日紙切れになってしまうということがないのです。株投資の世界ではたくさんそういうことがありました。

もちろん儲けはゆっくりです。不動産投資はしかし確実です。リスクが少ないと言っていいと思います。さらにいいことには、家族に安心をプレゼントすることができました。不動産投資をすることによって、家族に安心をプレゼントできたのです。

不動産投資に舵を切って、なんだかんだかれこれ10年が過ぎました。
もちろん最初のころは上手に物件が買えない、とか、経費がかかりすぎて運営が上手くいかないという物件もありました。しかし、不動産は強いです。
自分のテコ入れ次第でリカバリーが効くのです。失敗しないように持っていけるのです。

これらの経験を踏まえて、これから不動産投資をする人のなんらかの糧になればと思ってこのブログを書いています。しなくてもいい経験はしないでもいいと思います。他人のフリ見て、我がフリ直せればそれでいいと思います。ですので、体験談もできる限り織り交ぜて書かせていただきます。私が失敗しそうになった経験と上手くいった経験を余すとこなく紹介していきます。

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